婚約までのお話にしたかったのだが、なんでこーなった^^




ラフSSS












★島君、いちゃいちゃに付き合わされる、の巻



「俺達、婚約したんだ」

古代の横には、彼のフィアンセの雪がニコニコ笑って座っている。

話がある、と親友である古代に誘われた時、島はすでにピンときていた。
雪を連れて行っていいかと、わざわざ断りをいれたのもそうなのだが、ここ最近の古代は
土方への挨拶はどういえばいいのか相談していたり、女性の指のサイズについてなぜか自分に訊ねたりしていたので、
島も(あいつもいよいよ年貢の納め時か)と感じていたのである。

「そうか! おめでとう!」

二人にビールを注ぎながら、二人以上に島の胸も熱くなるのだった。

「ありがとう」
島に礼を言った後、古代と雪は目を合わせて二人にしかわからないような笑みを浮かべている。
そんな様子をみると、少しイジケタイ気持ちになる島だったが、そこはぐっと堪える。
島は、二人から幸せのお裾分けを頂いて、今夜は酔っぱらってしまった方がいいと思うことに決めた。
「古代が君と初めて会った時、俺も横に居たのに、なんで俺じゃなくて古代だったの?」
一度聞いておきたい、と島は以前から思っていたことを口にした。
もちろん本気で思っていたわけではなく、からかい半分だ。
雪は、なんでそんなことを聞くのかわからない、とでも言いたげに首を傾げて、こう話す。

「あの時の古代君、すごく失礼な感じだったでしょ? それが印象的だったのかもしれないな」

「あー、なるほど。出会いは最悪ってやつだ。こいつ、女性への接し方が下手でさ。なあ、古代? おまえ誤解されやすかったよな」

「そ、そうか? よく覚えてないな」

島の話に、古代は苦笑してジョッキのビールをぐいっと飲み干した。
「へーえ。学生時代の話? 訊きたいなあ」
「おいおい、面白い話なんかひとつもないって」
雪は、テーブルの上で両手を組んで、島の方に身体を乗り出して、にこっと笑う。
横の古代は、大袈裟に首を振っていた。

居酒屋のテーブル席。古代と雪が隣同士に座り、古代の前に島が座っている。
雪の仕草に、島はどきりとした。

きっといつもは古代に対して、そんな風に甘えているのだろう。
これは男心をかなりくすぐる仕草だ。
古代と一緒にいる安心感からくるものなのか。
雪本人に、自覚はないのかもしれないが、明らかにいつものスーパークールな彼女とは大違いな仕草だ。
雪をそうさせているのは、親友の古代だ。
雪と付き合うまでは、超鈍感だった古代が、だ。




「そうか? じゃあ、土方さんに盾突いたときの話は?」
「おじ様に? 」
雪は、瞳を輝かせ、嬉しそうに島を見ている。

「あれはさ、まだ俺たちがヤマトに乗りこむ三年ほど前の頃で」
「やめてくれって……」
雪とは対照的に、古代の声はか細くなった。

めでたい婚約報告の席で、少し苛めすぎたか? と島は思わないでもない。

「ま、いいさ。今度古代から直接訊きなよ」
意味ありげににんまりする島に、雪は瞳を大きく見開いていたずらっぽく笑った。
「そうね! じっくり聞いてあげるね、古代君!」
またもや二人の世界にトリップする婚約者たち。

(こいつら、俺の姿が見えてないのか……)
と島は思った。苦笑を通り越して、いっそ清々しいくらい大笑いしたくなる。

「おいおい、俺は、君達のイチャイチャの肴か?」
島は、二人のラブラブパワーに降参するしかなかった。

「違う! 断じて、そんなつもりはっ」
古代は島の前であるのも忘れて、しっかりと雪の手を握っている。雪の左手薬指には、キラキラと輝く愛の印が。

「わかった、わかったよ。おまえたちのイチャイチャに、今夜は付き合う」

島は、ジョッキグラスを傾けた。
今度はゆっくり親友と二人きりで酒を酌み交わし、『本当のところ、どうやって森君を落としたのか』
じっくりと訊いてやるぞと、心に誓うのだった。
















2017/03/25(土) 19:57 ヤマトSSS PERMALINK